私が目指しているのは、ただ農薬を使わない野菜づくりではありません。 土の中の命を守り、季節の流れに寄り添いながら、 この畑から、別の農業のあり方を少しずつ形にしていきたいと考えています。

今の農業では、問題が起きると、すぐに技術や資材で解決しようとすることがあります。でも、畑で起きていることは、そんなに単純ではありません。
土は、植物を支えるだけのものではありません。野菜も、収穫するためだけのものではありません。畑には、土、水、草、虫、微生物、季節、そして人の手が関わり合っています。
そのつながりを無理に単純にせず、まずよく見ること。できるだけ壊さないように関わること。私の仕事は、そこから始まります。
私は、この畑が誰にでも当てはまる「正解」だとは思っていません。ここは、毎日試しながら学んでいく場所です。
外から入れるものを減らし、土をできるだけ乱さずに育てると、畑はどう変わっていくのか。実際に観察し、確かめながら、少しずつ調整しています。
季節ごとに、うまくいくこともあれば、思うようにいかないこともあります。その積み重ねの中で、別の育て方を少しずつ形にしていきたいと思っています。


私が大切にしているのは、農薬や化学肥料を使わないことだけではありません。土の構造、微生物や菌、ミミズ、根、そして目に見えないたくさんのつながりを守ることです。
そうした働きがあるからこそ、土は豊かになっていきます。そのために、私は土をできるだけ耕さない栽培をしています。土をひっくり返さず、土が自分の力で整っていく時間を残したいからです。
土の表面を有機物で覆い、土に少しずつ食べものを返しながら、畑の中で自然に豊かさが育つ環境をつくっています。
農薬や化学肥料を使わないことは、とても大切です。でも、私はそれだけで十分だとは考えていません。
たとえ「オーガニック」や「有機」と呼ばれる農業でも、土を何度も耕したり、裸のままにしたり、収量や効率ばかりを追いかければ、土は疲れてしまいます。
大切なのは、何を使わないかだけではありません。土にどう関わるのか。畑の中に、草や虫や微生物の居場所をどう残すのか。自然の循環をどう守るのか。そこまで含めて、農業のあり方を考えたいと思っています。


私は、技術や道具を否定しているわけではありません。作業を助けてくれる大切なものです。ただ、それだけが答えになってしまうと、育て方や土との関わり方を見直す機会を失ってしまいます。
道具は、必要なときにとても役に立ちます。作業を楽にしたり、より正確にしたりもできます。でも、道具はあくまで道具です。
畑をよく見ること。季節の変化を感じること。土や草、虫の動きに気づくこと。そうした感覚を、技術で置き換えないようにしたいと思っています。
外から入れるものを減らす。
土を乱すことも減らす。
その分、よく観察し、土の命と畑の多様性を育てていく。
この育て方は、ただ農薬や化学肥料を使わないためだけのものではありません。土を守り、畑の中の生きものの働きを生かすことで、少しずつ畑そのものの力を育てていきます。
土をできるだけ耕さず、表面を覆うことで、雨や風で土が流れ出るのを防ぎます。畑の土を失わず、少しずつ守っていくことを大切にしています。
土を大きく乱さないことで、微生物や菌、ミミズ、根のまわりの環境が守られます。そうした小さな命の働きが、土を整え、野菜を育てる力になります。
生きた土は、雨が降ったときに水を受け止めやすく、乾いた時期にも水を保ちやすくなります。強い雨や乾燥に対して、畑が少しずつしなやかになっていきます。
根や土の中の菌の働きによって、野菜は水や養分を受け取りやすくなります。外から与えるものだけに頼るのではなく、土の中にある力を生かして育てます。
草や虫、菌や微生物にも居場所があることで、畑はより多様になります。すべてをなくすのではなく、いろいろな生きものが関わることで、畑のバランスを育てていきます。
多くの農業では、土が少しずつ植物を支えるだけの場所になってしまうことがあります。私が目指しているのは、その反対です。外から与え続けるのではなく、まず土を育て、これから先も野菜を育て続けられる畑をつくっていきたいと考えています。
私の野菜は、無理に急がせるのではなく、土を守り、畑をよく見て、季節の流れに寄り添いながら育てています。 野菜を選ぶことが、土や生きものを大切にする農業を支えることにもつながれば嬉しいです。